「生命保険は何歳までに加入しておくべき?」このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?
確かに、万一のことが起こったときには自分や家族を守ってくれる生命保険ですが、一体何歳までなら加入できるか気になりますよね。
そこで当記事では、一般的な生命保険の加入年齢について解説します。
さらに、年齢別に加入できる医療保険や選ぶポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください!
- 死亡保険の加入年齢の上限は80歳〜90歳
- 医療保険の加入年齢の上限は85歳〜満90歳
- 現状に合わせた保険金額や保障を設定する
- 持病や手術歴がある方は引受基準緩和型保険・無選択型保険を検討する
- 高齢者のための公的医療制度がある
生命保険は何歳まで加入できる?
ここでは、各生命保険の一般的な加入年齢について解説します。
一般的に年齢があがるにつれ病気やケガの発症率、そして死亡率も高くなることから生命保険の加入が難しいイメージがあります。
しかし、今や男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳となっており、平成2年(1990年)から約30年近くで男性が5年ほど寿命が延びています。(引用:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命」)
こうした背景を受け、生命保険の加入年齢も年々引き上げられているので、自分の年齢にあった生命保険を選ぶとよいでしょう。
死亡保険の場合
死亡保険は、加入年齢の上限が80歳です。
その他、引受基準緩和型死亡保険は85歳まで、一時払い終身保険では90歳を上限としているものもあります。
死亡保険とは、被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に保険金が受け取れる保険のことです。
医療保険の場合
医療保険は、85歳が加入の上限になっているものが多いです。
医療保険は2種類あり、通常の被保険者が病気やケガで入院や手術をした際に給付金が受け取れる医療保険と、持病や既往歴があっても加入しやすい引受基準緩和型医療保険があります。
がん保険・介護保険などの場合
がん保険・介護保険の場合は、基本的には85歳が加入上限となっています。
その他の保険としては、がんの治療に備えるがん保険や、要介護状態となった時に備える介護保険などがあります。
また保険金額が少額で、保険期間が1年以内(損害保険については2年以内)、保障性の商品のみである少額短期保険の場合は89歳まで加入できるものもあります。
ここまでは、各生命保険の一般的な加入年齢について解説しました。
80歳~85歳までを目途に加入できるか否かが決まる可能性が高くなるので、検討を急ぐ場合はこの辺りの年齢を一つの目安とするとよいでしょう。
【年齢別】加入する生命保険(医療保険)は?
ここからは、生命保険の中でも特に身近な医療保険について解説します。
年齢 | おすすめ生命保険 |
---|---|
64歳〜74歳まで | 入院保障を手厚くする 終身型の医療保障を選ぶ |
75歳〜84歳まで | 入院保障を手厚くする 先進医療保障をつける |
85歳〜89歳まで | 持病に特化した保険を選ぶ ※保険料が高額になるので注意 |
90歳以上 | 一時払いの終身保険を選ぶ 一時金給付型終身医療保険を選ぶ 持病に特化した医療保険を選ぶ ※保険料が高額になるので注意 |
65歳~74歳まで
- 入院保障を手厚くした医療保険を選ぶ
- 終身型の医療保障を選ぶ
65歳以上の方は入院保障を手厚くした医療保険が適しています。
さらに、これまで医療保障を終身型にしていない場合は、終身型の医療保険にすることも検討しましょう。
年金も始まる65歳のタイミングで保険の見直しが必要です。
65歳以上になると定年退職する方も多く、全体的に収入・出費が少なくなりますが、これからは医療費が多くなると予測されます。
令和2年度の厚生労働省「患者調査」によると、病気やケガで医療機関を受診する確率が最も多いのは65歳以上です。
同調査では入院日数に関しても65歳以上が最も高いことがわかっており、他の年代の2倍以上の入院日数を要することもあるようです。
死亡保険は定期保険等も加入できますが、更新時の年齢によって加入できる保険が少なくなるため、終身保険がおすすめです。
75歳~84歳まで
- 入院中の生活費1日あたり約2万700円の支払いが難しい方は手厚い入院保障を選ぶ
- がん等の心配があり先進医療の治療費も賄える医療保険を選ぶ
75歳以上の人の医療費の自己負担額は、課税所得が145万円未満の人は1割、それ以上の人は3割です。
75歳以上で医療保険が必要な方は、医療機関の自己負担額や、入院時の差額ベッド代や生活費、先進医療を受けた場合の治療費を賄えない場合です。
これらを賄えるほどの高収入や資産がある場合は、医療保険は必ずしも加入する必要はありません。
死亡保障については家族にお金を残したい方、葬式代を賄いたい方は終身保険に入るといいでしょう。
85歳~89歳まで
- 持病に特化した医療保険を選ぶ
- 保険料が高額になるので注意が必要
病歴や手術歴がある方が多く高齢のため、持病に対応している生命保険だと加入できる可能性があります。
85歳前後が加入できる年齢としてギリギリのラインでしょう。
しかし、85歳で加入するとなると、毎月の保険料は高額になります。
医療保険だけでも約1万円〜2万円、死亡保険も追加するとなると月額約5万円にものぼるため継続して支払えるのかよく検討する必要があります。
90歳以上
- 一時払いの終身保険を選ぶ
- 一時金給付型終身医療保険を選ぶ
- 持病に特化した医療保険を選ぶ
90歳以上からの生命保険の加入は一時払い終身保険がおすすめです。
一時払い終身保険は満90歳まで加入できますが、91歳になってしまうと加入できる保険はありません。
満90歳は生命保険に加入する最後のチャンスです。
90歳でも入れる医療保険の保険料は月額2万円を超えることも少なくありません。
95歳まで解約返戻金がない、途中解約だと解約返戻金額が下がるといったマイナス面もあるので注意が必要です。
91歳以上で保険に加入したい場合は引受基準緩和型保険や無選択型保険(無告知型保険)を検討してみましょう。
生命保険の保険料は何歳まで払う?
生命保険の保険料は何歳までに支払うかを自分で設定することができます。
ここでは、定期保険・終身型保険・払込期間を設定した場合と一括支払いを設定した場合について解説をします。
たとえば定期保険は、保険料を安く抑えられる良い面もあれば、逆に掛け捨てになるので保証期間が終わった後に解約払戻金が戻ってくることがないので、一長一短といえるでしょう。
しかし、生命保険は万が一に備えて保険料を支払うことで、入院などで経済的な負担を守ってくれるものとして保険をかけておくということといえます。
定期保険の場合
定期保険とは、一定の契約期間を保障する満期がある保険です。
ほとんどの定期保険は解約払戻金が無い掛け捨ての保険ですが、その分、安い保険料で契約できます。
また定期保険の保険期間は2種類あります。
一つは、契約年数が何年間という「一定期間を決める」満了タイプと、もう一つは、何歳まで契約をする「年齢で決める」満了タイプです。
一般的に契約満期を迎えるまでは保険料を支払い続ける必要があります。
しかし、「一定期間を決める」満了タイプは保険期間が終了すると自動更新されることが多いですが、「年齢で決める」満了タイプは保険期間満了後に更新せず保険が終了します。
したがって、ご自身にあった定期保険を選ぶとよいでしょう。
終身保険の場合
終身保険は、死亡保険の一種で生きている間、保険期間が一生涯続く満期がない保険です。
終身保険の特性から、葬儀費用や遺族の生活費、相続対策などを目的として加入するケースも多いです。
定期保険よりも保険料は高くなりますが、一部には、解約払戻金が戻ってくるタイプが多く、契約解除後にいくらか返金されるので貯蓄性を兼ね備えています。
払込期間を設定した場合
ここからは、払込期間を設定した生命保険について解説します。
定年となる60歳や、公的年金の受給開始年齢である65歳の年齢に合わせて保険料の支払い終了を設定することによって保険料の払込総支払額を少なくすることができます。
終身払のように月々の支払い金額を決めて継続する保険にするよりも、払込期間を決めて支払換算してしまう保険の方が払込時間も金額も安く済みます。
しかし、設定した期間内に支払を終えるようにしているので、月々の保険料は高くなりますが、その分老後の生活費の心配は緩和されるでしょう。
一括支払いを設定した場合
一括支払いとは、保険料をまとめて払い込む方法です。
保険会社によって異なりますが、月2~3%程度保険料が安くなっているところが多いです。
また、一括支払いは一回で保障期間中の保険料を支払う「一時払い」と全期間分を前もって納める「全期前納払い」の支払方法があります。
一時払い | 全期前納払い |
---|---|
全期前納払いに比べると保険料の総支払額が安い。 被保険者の死亡や解約などによる保険料の返還はされない。 生命保険料控除は、保険料を支払った最初の年のみ控除される。 | 年払いで保険料払込期間に支払う保険料の総支払額より安い。 被保険者の死亡や解約などによる未経過分の保険料は返還される。 生命保険料控除は、保険料払込期間中毎年受けられる。 |
一時払いは、全期前納払いに比べるとさらに安い金額で支払いが完了しますが、たとえば、一時払いした直後に被保険者が死亡した場合、支払った金額は返還されないので、結果的に全期前納払いの方がお得だったといえるケースもあります。
そのため、メリットもあれば、デメリットもあるので注意しましょう。
いずれの支払方法も一括支払いという点で共通しているため、ある程度の余力がないと選択できない支払い方法ですが、手元資金に余裕があれば検討してみましょう。
手術や既往歴があっても加入できる生命保険とは?
ここからは、高齢で手術や既往歴があっても加入しやすい保険について、以下の2つを解説します。
健康状態が不安のある方でも加入しやすい保険ですが、その分保険料が高かったり、自分が必要とする保障内容が入っていなかったりするので、きちんと確認してから契約するようにしましょう。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、一般の保険より加入時の引受基準を緩和している保険のことです。
所定の告知項目の内容は各会社の保険内容によって異なりますが、以下のような項目が設けられています。
過去2年以内に入院・手術をしたことがある 過去5年以内にがんで診断・治療・入院・手術をしたことがある 今後3ヵ月以内に入院・手術の予定がある 現時点でがん・肝硬変と医師に診断または疑いがあると指摘されている これまでに公的介護保険の要介護認定を受けたことがある |
通常、保険加入時には健康状態を確認する告知書への記入が必要ですが、引受基準緩和型は引受基準が緩和されており、持病や既往歴がある方でも加入しやすい保険となっています。
ただし、告知項目が少なく加入しやすくなっている分、通常の保険と比べて保険料は割高になっているので、契約してから1年以内の死亡保険金や入院・手術給付金は50%までしか支払われないなどの制限が付く場合もあるので注意が必要です。
また、その他にも加入後一定期間は保障が受けられなかったり、保障が少なくなったりするので注意しましょう。
無選択型保険(無告知型保険)
無選択型保険(無告知型保険)は、主に死亡保険のことになります。
特徴は、保険加入時に健康状態に関する告知や医師の診査がないことです。
そのため、健康状態に不安のある人におすすめです。
ただし、加入する際の保険料は、一般的に引受基準緩和型よりもさらに割高になるので、自分に必要な保障が付帯しているかよく確認した上で契約するようにしましょう。
契約できる年齢が上限90歳までの高齢者でも加入できるメリットもありますが、死亡保険の一生涯保障より、契約時期によっては支払った保険料が同等もしくは少し上回ってしまう可能性もあるので注意しましょう。
定年退職後や老後に備えて生命保険をかけておく目的は?
ここでは、そもそも各生命保険は誰のために必要で、何のために保険をかけておかないといけないのかが大切なポイントとなります。
もちろん人それぞれ目的が異なるので一概に言えませんが、各生命保険をかける目的や対象について説明します。
死亡保険の目的
死亡保険の目的は、残された家族に対して生活費や資金を残すためにあります。
死亡保険金はすぐに現金受け取りができることができ、葬儀代に充てる人も多くいます。
目的によって死亡保険金の設定をする必要があります。
たとえば、子どもが独立するまでの期間であれば、保険金を高めに設定し、その後の生活が変わらないようにサポートすることが可能です。
逆に独身や夫婦のみの場合、高額な保険金は必要なく、お葬式代やある程度生活できる範囲で保険金を設定しておくと良いでしょう。
家族構成、本人と家族の年齢、仕事の年収やライフスタイル等に合わせて、必要な人に適切な分だけ備えることが大切です。
医療保険の目的
医療保険の目的は、生涯にわたって発生する病気や怪我による医療費を抑えることにあります。
医療保険の給付金は基本的に病気や怪我をした時の医療費を賄うもののため、給付金の受取人は加入者本人です。
若い時には必要を感じないかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて病気や怪我をする可能性が高くなるため、20代と比べて60代では約3~4倍の医療費がかかっています。
ただし、入院時食事療養費や高額療養費といった公的医療保険制度を活用し医療費を抑えることができます。
さらに75歳以上の方、または寝たきり等の一定の障害があると認定された65歳以上の方は後期高齢者医療制度によって自己負担額は原則1割(現役並みの所得がある方は3割)です。
生活費とは別にしっかり貯蓄がある場合は医療保険の加入は必須ではないともいえます。
しかし75歳以上であれば大半の人が年金で生活していると考えられます。
実際には年金だけでは医療費まですべてカバーしきれないのが現状です。
病気や怪我はいつ発生するか予想できないため、生きている限り医療費は必要です。
急な事態にも対応できるように備えておくことが理想的でしょう。
高齢になる前に生命保険に加入しておくメリット3つ
なぜ保険の加入をしておいた方がいいのか、年齢を重ねる前に生命保険に加入しておくメリットを3つ紹介します。
保険料を安く抑えられる
保険料は年齢が高くなるのに比例して保険料も高くなる傾向が強いです。
前述したように、20代よりも60代を過ぎたあたりから約3〜4倍の医療費がかかっており、それだけ何かしらの病気を発症していることが分かります。
「年齢を重ねる=病気やケガのリスクが高まっている」ため、高齢で申し込む保険料は高くなるのでしょう。
さらに定年後は年金生活が見込まれるので、現役の時のような所得は望めない分、保険料の支払い負担が大きいと思われます。
特に終身保険や、個人年金保険等の生命保険の中でも貯蓄性のあるものは、目標金額に到達するまでに病気やケガのリスクが低いため、毎月の保険料が安く抑えられます。
自分にあった保障内容を選べる
健康状態が良好で20代と若い場合、選べる保障内容が多く、最適なプランを組むことができます。
生命保険に加入するには、既往歴や健康状態を告知し、保険会社が承認する必要があります。
保険会社は加入者自身の告知内容を元に生命保険に加入させても良いかを調べているので、年齢がクリアできていても加入できるかは分かりません。
既往歴があった場合には告知された内容に対し、保険が効く範囲の限定や保険金の減額といった条件がつく場合もあります。
最悪の場合としては、必要な保険金に満たず、保険が降りたとしてもこれまで通りの生活ができないケースです。
相続税対策になる
死亡保険の保険金を受け取って相続することにより税金対策が可能です。
また生命保険は保険金の受取人を明確にしてあるため、相続争いが起こりにくいでしょう。
死亡保険は自分自身に保険をかけて自分で支払い、受取人が相続人の場合に限り、非課税枠が設けられています。
そのため、生命保険の保険金を相続することで相続税や贈与税の対策ができるとされています。
非課税枠には限度があり、「500万円×法定相続人の数」と法律で定められています。
死亡保険の非課税枠は、被保険者が亡くなってすぐから使えるメリットもあり、葬儀代や身の回りの整理等に使えます。
生命保険に加入する際の注意点2つ
生命保険に加入する際に見落としがちな注意点について2つ紹介します。
生命保険の年齢計算方式で数え方が異なる
生命保険における年齢の数え方は「保険年齢方式」と「満年齢方式」の2種類あり、保険会社によって採用している方式が異なります。
高齢者にとって重大なポイントであり、この方式によって生命保険に加入できるかどうか異なる場合があります。
契約する際に、満年齢の端数が6ヶ月以下の場合は切り捨て、6ヶ月越えの場合は切り上げて年齢を数える方法
保険年齢方式の場合は、例えば21歳3ヶ月の場合は21歳になり、21歳7ヶ月の場合は22歳の年齢の数え方です。
実年齢そのままで年齢を数える方法(誕生日を迎えて1つ年齢が加えられていく)
満年齢方式の場合は、普段年齢を数えるときと同じ年齢の数え方です。
1歳でも若い方が保険料が安くなる保険会社やプランであれば、少しでも早く加入した方が良いでしょう。
「まだ誕生日まで余裕がある」と思っているとタイミングを逃してしまいます。
加入できない職業がある
生命保険はパイロットや放射線技師等の命や健康に関わるような危険な職業に就いている場合、加入できないことがあります。
【生命保険の加入が難しい職業の例】
危険な職業 | 火薬製造業者/爆発物処理専門家/ダイバー/高所作業員/パイロット/軍人など |
病気や健康問題に関わる職業 | 放射線技師/化学工場作業員/放射線被曝のリスクのある職業など |
過激なスポーツ | スカイダイバー/ベースジャンパー/ボクサー/モータースポーツ選手など |
告知した職業の死亡率や入院率が上がり、各保険会社の定める基準を超えてしまうと保険に入れなくなるでしょう。
このような職業は死亡要因によって保険金が支払われるかに大きく関わる問題なので、事前の告知義務で正直に伝えることが重要です。
まとめ
- 死亡保険の加入年齢の上限は80歳〜90歳
- 医療保険の加入年齢の上限は85歳〜満90歳
- 現状に合わせた保険金額や保障を設定する
- 持病や手術歴がある方は引受基準緩和型保険・無選択型保険を検討する
- 高齢者のための公的医療制度がある
この記事では生命保険に入れる年齢や生命保険の種類を解説しました。
60歳〜90歳の各年齢に合わせた生命保険の選び方やポイントもお伝えしています。
日本においては優れた医療技術により寿命が伸び続けていますが、老後にかかわらず医療費は生きている限り必要なものです。
生命保険の加入は早ければ早いほど保険料が安く抑えられ、資産にすることも可能です。
まだ生命保険に加入してない方、生命保険に加入してそのままの方は、早めに相談することをおすすめします。
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