「債務整理って、全部終わるのにどれくらい時間がかかるんだろう?」
そのようにお悩みではないですか?
借金の悩みからはできるだけ早く解放されたいですから、それぞれの手続きにかかる期間は気になるところですよね。
この記事では、債務整理の種類やそれぞれにかかる期間と影響、保証人への影響についてご紹介しています。
ブラックリストの登録期間や影響についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 早く終わり負担や影響が少ないのは任意整理
- 債務整理をするともれなくブラックリストに載る
- ブラックリストに載るとローンが組めない
- 借金を0にできるのは自己破産だけ
債務整理の種類4つ
債務整理には、大きく4つの種類があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 特定調停
それぞれの方法を取るには条件があり、当てはまらない場合は違う方法で対処する必要があります。
まずはその条件や違い、それぞれの特徴について理解しましょう。
また、債務整理をする上で考えなくてはならないのが保証人や連帯保証人の存在です。
それぞれのどの方法を選択するかによって、保証人や連帯保証人にどのような影響があるかも異なります。
保証人:債務者の財産が差し押さえられても返済しきれないときに代わって返済する責任があり、保証人が複数人いる場合はその頭数で債務を分割することができる。
連帯保証人:債務者とほとんど同じ立場。債務の全額を返済する責任があり、請求されたら反論はできない。また、連帯保証人が複数いても債務を分割することはできず、全員が全額を一括返済する必要がある。
こちらについてもご説明しますので、しっかりと考えたうえで自身に合った選択ができるようにしましょう。
任意整理|整理する債務を選んで利息分をカット
任意整理とは、整理したい債務を選んで、残っている利息分をカットし元金のみを返済する方法です。
債務整理の中で唯一、裁判所を通さずに行うことができます。
- 借入額が比較的少ない
- 返済した実績がある(返済の意思があると判断できる)
- 安定した収入があり、3年~5年で完済できる見込みがある
任意整理をすれば借金が0になるというわけではありません。
任意整理後も返済は続けていくことになりますが、多くの場合が3年、また長くても5年以内の返済を求められることがほとんどで、これに応じられない場合は和解が成立しないケースが多いです。
そのため、任意整理後3年~5年以内の返済が難しいのであれば他の方法を検討しましょう。
また、借入額が小さく返済額を手取りの2~3割に収められる程度であるかも重要です。
返済額が収入の多くを占め生活に見通しが立たないようでは債務整理をする意味がありませんので、この場合も他の方法を検討しましょう。
▼ 保証人への影響
連帯保証人に関しては、債務整理の中でも任意整理が一番影響が少ないと言えます。
任意整理は、整理する借金を選択することができます。
例えば連帯保証人がいないA社・B社の借金と連帯保証人がいるC社の借金を抱えていた場合、連帯保証人がいるC社の借金は除外してA社・B社のみを任意整理することが可能です。
また、保証人も一緒に任意整理すれば、主債務者と同じように和解契約通りの条件での支払いが可能です。
ただし、一括返済を避けることはできてもブラックリストには登録されることとなりますので、その点には注意が必要です。
個人再生|財産を手放すことなく借金を大幅減額
個人再生では、住宅や車を手放すことなく* 借金を5分の1~最大10分の1まで減額することができます。
(*財産の所持は、ローンを完済している場合に限ります。返済中の高価なものは回収される可能性がありますので注意しましょう。また、住宅はローンの返済を続けることで持ち続けることができます。)
ただし、個人再生をするには「借金を返済できない恐れがある」ことを裁判所に認めてもらう必要があります。
- 住宅ローンを除く債務が5,000万円以下
- 借金を返済できない恐れがあると証明できる
- 安定した収入があり、原則3年以内に完済できる見込みがある
多くの場合で5分の1程度に減額され、原則3年以内の完済が求められます。
ただし、特別な事情があれば、最長5年の猶予がもらえることもあります。
大幅な減額が魅力ではありますが、その分規定は厳しく必要書類も大量で手続きは大変です。
▼ 保証人への影響
債務者が個人再生申立をすると債務者の返済額は減額されますが、連帯保証人は残りの債務全額を一括請求されます。
債権者が債務を回収できないリスクに備えて連帯保証人が付くわけですから、当然のこととも言えます。
例えば債務者が500万円の債務を抱えていて、個人再生を行い100万円に減額された場合、保証人は残りの400万円を一括で支払わなくてはなりません。
なお、個人再生をする債務を選ぶことはできず、すべてを一律に減額することが定められているため、連帯保証人が付いている債務だけを個人再生の対象から除外することはできません。
さらに連帯保証人が付いている債務だけを手続き前に返済してしまうと、その金額が返済額に上乗せされますので注意しましょう。
自己破産|債務を0にして返済から解放
裁判所で「債務の返済が不可能である」と認めてもらい、免責許可を得て債務を0にするのが自己破産です。
自己破産をすると返済をする必要は無くなりますが、家や土地などの財産を手放すことになります。
しかし、浪費や賭博、趣味などで収入に見合わない支出をした結果の自己破産はできないケース(免責不許可事由)があるということは覚えておきましょう。
また、自己破産をしても住民税や健康保険料の滞納といった「非免責債権」にあたるものは支払う義務があります。
免責不許可事由とは:借金の理由がこれにあてはまる場合は借金が免除されない
該当するもの ▶ ギャンブル・投資・浪費による借金、返済可能を装い借りた不当な債務、クレジットカードの現金化をしたことがある、一部の借金を優先して返済した、過去7年以内に免責決定を受けている など
非免責債権とは:自己破産による免責の効力が及ばず、手続き後も支払う義務があるもの
該当するもの ▶ 税金や下水道料金などの公的な支払、窃盗・詐欺・死亡・ケガ・精神的な損害への賠償金の支払い、社員への給与等の支払い、家族の生活費や子供の養育費
- 免責不許可事由に該当しない債務である
- 支払い不能であることを証明できる
自分では返済が不可能だと感じていても、客観的に見て十分な財産がある場合は自己破産ができません。
また、「自己破産」というと家も何もかもすべて取り上げられて身一つで投げ出されるのではないかというイメージを持つ方が多くいますが、これは誤りです。
確かに、自己名義の家・車・保険・貴金属などの資産は差し押さえられます。
しかし、例えば仕事に必要なPC・タクシードライバーのタクシー・生活に必要なテレビや洗濯機などの家電は残すことができますし、現金99万円以下・預貯金20万円以下も残すことができます。
債務を0にし生活を立て直すために行う手続きであって、決して自己破産以降も最低限の生活が続くわけではありません。
▼ 保証人への影響
自己破産をすると、連帯保証人には借金の一括返済が求められます。
そのため、債務者だけではなく連帯保証人も巻き込まれる形で自己破産せざるを得ないことが多く、破産者の10人に1人以上は自分以外の借金で自己破産をしているという報告もあります。(参考:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】)
また、個人再生同様、整理する債務を選ぶことも、連帯保証人のある債務だけを手続き前に返済することも禁止されています。
早めの対処で任意整理が可能な場合もありますので、保証人に迷惑をかけないためには「返済が難しい」と感じた時点ですぐに専門家に相談することが重要です。
どうしても自己破産となってしまった場合には、事前に連帯保証人に誠心誠意話をしておくことが大切です。
特定調停|費用を抑えて利息をカット
特定調停では、裁判所の調停委員が債務者と債権者の間に入り、両者から話を聞いてお互いが納得できる和解を目指します。
任意整理と似ており、仲介人が弁護士ではなく調停委員になると考えるとわかりやすいでしょう。
弁護士費用がかからないため安く済むというメリットがありますが、準備を自分で行う必要があるため大変です。
- 平日の昼間、指定された期日に出廷できる
- 調停後、調停調書通りに返済できる
調停が開かれるのは平日の午前10時~午後5時までで、大抵が2回~4回程度出廷することになります。
裁判所から指定された日に出廷しなければならないため、仕事等の調整が大変になるでしょう。
さらに、前述の通り申立書類の作成・裁判所とのやり取り・裁判所への出廷など、これらすべてを自分で行わなくてはなりません。
もちろん弁護士に依頼することは可能ですが、費用がかかってしまいます。
▼ 保証人への影響
任意整理同様、特定調停では整理する債務を選ぶことができます。
そのため、保証人が付いている債務を整理対象にしなければ、保証人に影響はありません。
もちろん、保証人付きの債務も含めて調停を行った場合は保証人に対して債務の一括請求が行われます。
また、特定調停では元本のカットは行われないため、調停が成立したり調停に代わる決定が出て主債務者が完済できる目処が立てば、保証人への請求はそこでストップします。
任意整理にかかる期間
任意整理の手続きは、およそ3ヶ月~6ヶ月程度で終了します。
任意整理の手順は下記のとおりです。
初回面談後、委任契約を結びます。
弁護士・司法書士が債権者に受任通知を発送し、受任通知を受けた債権者は信用情報に事故情報を登録します。
返済は手続き完了まで一旦ストップし、債権者は取り立てが行えなくなります。
債権者から取引履歴を入手します。取引履歴が届くまでの期間は債権者によって異なります。
取引履歴から契約金利が利息制限法の上限を超えていないか確認し、過払い金が無いか確かめます。
過払い金があれば引き直し計算をして、残りの返済額を確定します。
残債務の支払い方法について提示・交渉を行います。
和解が成立したら合意書を取り交わして手続きは完了です。
原則3年(36回)で返済します。
交渉次第では最長5年まで返済期間を延ばすことが可能です。
個人再生にかかる期間
個人再生の手続きは、少なくとも6ヶ月程度、長い場合は1年程度かかることもあります。
個人再生の手順は下記のとおりです。
初回面談後、委任契約を結びます。
弁護士・司法書士が債権者に受任通知を発送し、受任通知を受けた債権者は信用情報に事故情報を登録します。
返済は手続き完了まで一旦ストップし、債権者は取り立てが行えなくなります。
債権者から取引履歴を入手します。取引履歴が届くまでの期間は債権者によって異なります。
債務の明確な内容と、保有資産・財産や返済能力を測るための調査をします。
また、取引履歴から契約金利が利息制限法の上限を超えていないか確認し、過払い金が無いかも確かめます。
過払い金があれば引き直し計算をして、残りの返済額を確定します。
住民票や源泉徴収票、弁護士・司法書士が作成した申立書などの必要書類を揃えて、自宅地域を管轄している地方裁判所に申立てします。
裁判所に代わって債務者の調査を行う再生委員と面談をします。
地域によっては、再生委員の選任が行われないこともあります。
手続きに問題がなければ個人再生の開始決定を下します。
個人再生委員・弁護士と、各債務者への返済計画をまとめた「再生計画案」を制作して提出します。
裁判所が再生計画案に問題が無いかを確認し、の認可・不認可を決定します。
再生計画案に従って返済を開始します。
自己破産にかかる期間
自己破産は条件により取る手続きが異なります。
管財事件となった場合には6ヶ月~1年程度、同時廃止事件の場合には3ヶ月~6ヶ月程度の期間を要します。
管財事件:資産・財産の調査を行い、破産管財人*への報酬や破産手続き費用が払えると判断された場合に適用
同時廃止事件:破産管財人*への報酬破産手続きの費用を支弁するのに不足すると認められた場合に適用
*破産者の資産などを調査し、破産手続きを進める役割を持つ人
以下で紹介する手順は、同時廃止事件の場合のものです。
初回面談後、委任契約を結びます。
弁護士・司法書士が債権者に受任通知を発送、受任通知を受けた債権者は信用情報に事故情報を登録します。
返済は手続き完了まで一旦ストップし、債権者は取り立てが行えなくなります。
債権者から取引履歴を入手します。取引履歴が届くまでの期間は債権者によって異なります。
債務の明確な内容と、保有資産・財産の調査をします。
また、取引履歴から契約金利が利息制限法の上限を超えていないか確認し、過払い金が無いかも確かめます。
過払い金があれば引き直し計算をして、残りの返済額を確定します。
弁護士・司法書士の指導のもと申立書の作成を行います。
申立書や住民票、源泉徴収票などの必要書類を揃えて、自宅地域を管轄している地方裁判所に申立てします。
自身・弁護士・裁判官の三者で面接を行い、保有資産や借金、自己破産の経緯について話します。
面談の結果、換価する財産がある場合は管財事件となり、破産手続開始決定後に財産の清算手続きを行います。
換価する財産がない場合は同時廃止事件となり、破産開始手続きを持って終了となります。
裁判所が指定した日に、裁判所で裁判官と面接を行います。
免責許可がおりれば債務が免除されます。
特定調停にかかる期間
特定調停の手続きは、多くの場合4ヶ月~5ヶ月、早い方では3ヶ月程度で終了します。
個人再生の手順は下記のとおりです。
特定調停申立書のほか、債権者の情報をまとめた一覧表、家計や財産の状況を示す書類などの作成を行います。
作成した申立書・住民票・源泉徴収票などの必要書類を揃えて、自宅地域を管轄している地方裁判所に申立てします。
調停期日に裁判所へ行き、債務状況の確認や支払資源などについて申告し、返済計画案を作成します。
通常は2回程度、多い方では4回程度行います。
調停が成立したら調停調書が作成されますが、成立せずに終了してしまうこともあります。
その場合は、他の対処法を考える必要があります。
調停調書通りに返済を開始します。
債務整理をするとブラックリストに載る
債務整理をおこなうことのデメリットに、ブラックリストへの登録が挙げられます。
実際には「ブラックリスト」というものは存在せず、滞納や代位弁済、債務整理などの金融機関にとって好ましくない事項が信用情報に記録されている状態を、「ブラックリストに載っている」といいます。
信用情報を管理する機関は以下の3つです。
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・株式会社 日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
それぞれ情報の保存期間は決まっており、債務整理の場合は完済後5年~10年程度で登録が解除されます。
シー・アイ・シー (CIC) | 日本信用情報機構 (JICC) | 全国銀行個人信用情報センター (KSC) | |
---|---|---|---|
任意整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
個人再生 | 5年 | 5年 | 10年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
債務整理の手続きが開始された時点で事故情報が登録されますので、その期間も含めると、少なくとも8年間はブラック状態ということになります。
ブラックリストに載ることの影響
「ブラックリストに載る」とは「信用情報に事故情報が記録されている状態である」とご説明しました。
ですので、その影響を簡単に言えば「金融機関が信用情報を参照する事柄に制限がかかる」ということになります。
ここでは、その具体的な例を3つご紹介します。
- ローンが組めなくなる
- キャッシングなど、新たな借入ができなくなる
- クレジットカードの利用や分割払いができなくなる
ローンが組めなくなる
住宅ローンや自動車ローンを組む際には金融機関が信用情報を参考に審査を行い、返済能力の有無を確認します。
そこに事故情報が記録されていれば当然、審査の通過は難しいでしょう。
また、携帯電話の分割払いなども不可能になります。
分割払いはローンを組むのと同じことですので、買い物の際はすべて一括購入で対応することとなります。
キャッシングなど、新たな借入ができなくなる
キャッシングやカードローンなどの借入も、これまでの取引履歴に問題が無いかを審査するために信用情報を参照します。
債務整理後、新たな借り入れができないのはお金の使い方を見直すうえでメリットがあるとも言えますが、不便を感じることもあるかもしれません。
クレジットカードの利用ができなくなる
カードの更新ができないことはもちろん、現在使用しているカードも強制解約となります。
クレジットカード会社では定期的に信用情報のチェックがされているため、カード会社で事故情報が確認された時点でカードの利用ができなくなります。
カードで決済したいという場面では、デビットカードやデポジット型カードを利用しましょう。
債務整理の期間 まとめ
債務整理4種類の特徴や影響、手続きにかかる期間などについて解説してきました。
4種類あるなかでも任意整理を選択できれば、保証人への影響やブラックリストの登録期間、手続きの負担が少なく済みます。
もちろん、他の方法を選んで生活の立て直しを図るのは悪いことではありません。
しかし、保証人や自身に降りかかる影響を考えれば、「返済が難しい」と感じた時点ですぐに専門家に相談することが重要です。
- 早く終わり負担や影響が少ないのは任意整理
- 債務整理をするともれなくブラックリストに載る
- ブラックリストに載るとローンが組めない
- 借金を0にできるのは自己破産だけ
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